第4話 今日の空

11/33
前へ
/190ページ
次へ
「開幕したら、結構荒れるだろ」 「まぁな。でも、あれも愛あるダメ出しなんだよ。もし叩かれても、次の日に活躍すればすぐに掌返しするからな」 「阪神ファンって、すぐに選手起用に文句言うよな。監督代えろとか」 「え、あれってうちだけなの?」  他の三人が盛り上がっている間に、健太はいくつか他の記事にも目を通し、そのコメント欄に注目した。  多くは温かい声援だったが、ときどき「この選手はもういらない」とか「去年と全然変わってない」とか、そういうバッシングも含まれていた。 「なんていうか、選手たちも大変だな」  こう言って、健太は友人にスマホを返した。  スポーツ選手に限らず、人前に出て仕事をする人たちはいつでも、SNS上で叩かれる可能性があるんだなと思うと、現代社会に生きづらさを感じずにはいられない。 「まーな。でも、批判をバネに成長するっていうか、常に活躍し続けることなんてないからな」 「でも、打てない守れないで文句言われても、どうしようもなくないか? 選手たちだって必死にプレーしてるんだろうし」 「使ってる監督が悪いって開き直れればいいんだろうな」 「素人の意見なんて無視すればいいだけだろ」  友人たちはさほど気にしていないというか、ネット上の批判はある程度しかたないと思っているようだった。  健太もそういうものだろうと受け入れられなくもないのだが、どうしたってすっきりしない。
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加