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壮絶なラリーを打ち勝って勝利を決めた牛頭選手が、大きな声を出してその場に倒れ込む様子が映される。
これが代表決定の瞬間だったようで、喜びを爆発させているだけかと思ったが、そうではなかった。
彼は人目をはばからずに大泣きしていて、そこからこの選手の背景の紹介が始まった。
同じく卓球選手だった母とともに練習に励む幼少期の様子が微笑ましい。
天才卓球少年として注目されていたその選手は、ジュニア時代から格上の選手に数多くの勝利を収めていたようで、オリンピックでのメダルも期待されていた。
ところが、高校生のときに大きなスランプに陥り、しばらく休養していた時期もあったそう。
原因は怪我ではなく、二人三脚でがんばっていた母の突然の死による精神面での不調だった。
当時の牛頭選手のことを、父親が語るシーンに切り替わる。このときすでに、舞はテレビ画面に釘付けだった。
舞が同じような境遇であるということはないのだが、なぜか目が離せなくなっていた。
牛頭選手の父は卓球未経験で、車での送迎や食事の管理など、卓球以外のところで牛頭選手と奥さんのサポートをしていたらしい。
ふたりを支えることが生きがいだったと語る父の様子から、家族で一致団結して夢に向かっていたことは容易に想像できた。
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