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母の言葉と父の想いを受け取った牛頭選手は、以降の国内リーグで目覚ましい活躍を見せ、それと並行して行われた代表選考レースでも輝きを取り戻し、最終的にはごくわずかのポイント差で代表権を勝ち取るに至った。
あとは本番で一番いい色のメダルを取るだけだと、爽やかな笑顔で決意表明をしてくれたところで特集は終わった。
ほんの数分程度だったと思うが、舞の心に深く刻まれる内容だった。
「すごい……」
誰もいない部屋で、舞はぽつりとつぶやいた。
逆境に負けないその強さが、純粋にうらやましかった。
「あれ、まだあった」
すっかり冷めてしまっていたパスタの残りを食べて、舞はテレビの前を離れた。
ミスしてくよくよしていた自分に喝を入れてもらえたような気がして、使ったお皿を洗う手には自然と力が入るのだった。
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