〈3〉

3/3
前へ
/49ページ
次へ
彼女は魔女だと疑いがかかる。 しかし、神の声を聞いたという発言を否定することはなかった。 どんなに屈辱を与えられ、苦しい拷問を受けようとも、神を信じ続けた。 そして、最後は火あぶりの刑にかけられ命を落とす。 ジャンヌは死ぬまで自分の主張は曲げることがなかった。 壮絶な死を迎え、転生し、尚また戦いの地へと舞い戻った彼女。 今、心を支配しているのは正義への執念。 本間忠史。 藤森和葉。 この二人を野放しにしてはいけない。 悪しき人間はこの手で…。 そのためには勝ち残る必要がある。 (ここにいる奴らは全員悪だ。私は私の正義のために戦わなくてはいけない。それが宿命。) 咲は元々は黄色リング、すなわち有益使用者であった。 そのスキルは世のため人のために使用されていたのだ。 ただ。 彼女は恐ろしく潔癖だった。 異常なまでに正義を求め、そのやり方は徐々に激しく、過激になっていく。 悪に対しての執拗なまでの暴行。 咲は絶対に逃さない。 彼女の手によって死の淵まで追い詰められた人間は、ほとんどが口の聞けない状態となっている。 重症をおうか、精神の錯乱を引き起こすか。 良くて体の一部を失うくらいだろう。 (この計画を壊す。まずはここに放たれた犯罪者どもを制圧する。私の行動は正しいですよね?神様…。) 咲に神の声は聞こえない。 森にじっと潜み、神経を張り詰める。 その鋭い眼差しの先で何かが動いた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加