〈戦い・1〉

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大型の薙刀を何の苦もなく振り回す。 その刃が狙ったのは…。 咲だった。 (手を組んだか。) すんでのところで身をかわす。 男は尚も咲を狙い、薙刀を振り下ろす。 その目に光は見られない。 咲は攻撃をかわしながら冷静に分析をする。 (こいつ。召喚されているものだ。私と同じか…。ならば本体が側にいるはずだ。) 真衣は何が起きたのか理解できずにいた。 ただ、これだけはわかる。 (あたしを守ってる?) そして素早く視線を巡らせる。 それを見ていた咲。 (あの様子だと…。あの女にも想定外の事のようだな。いずれにしても、このままだと分が悪い。一度引くか。) 本体が見つけられない以上、咲もスキル発動は出来ない。 このままニ対一になるのは避けたかった。 幸い、男の薙刀のリーチは長い。 しかも力に任せて精密なコントロールがされていない。 これなら難しく考えなくても、刃をかわすだけで良い。 咲は前を向いたまま後ろにジリジリと下がる。 応戦してるかのように振る舞い、本体を探す。 同時に森へと逃げ込むチャンスも狙う。 (駄目だ。本体が見つからない。撤収するか。) 刃を避けながら、そのまま体をひるがえすと、木々の間に体を滑り込ませる。 「逃げるわ!」 真衣が気付き、叫んだ時にはすでに遅かった。 咲の姿は森の中へと消えていく。 呆然とする真衣の目の前に、男が立ちはだかる。 (しまった。気を抜いた!) 真衣は後ろへ下がると体勢を整える。 しかし、戦うにしてもこれは召喚されたものだろう。 それには気付いたが、本体はいまだ見つけられていなかった。 (せめて近くにいればスキルは使えるんだけど。一か八か…。) 真衣は道具を取り出す。 その時。 「やっと、会えたね。」 木の陰から現れた男。 それは。 真衣の知らない男だった。
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