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信長は思っている。
この世は競い合いであり、弱肉強食であると。
使えるものは使い、いらないものは捨てれば良い。
弱いものが強いものに服從するのは自然の道理だろう。
そこに一体、何の情があるというのか。
新しいものは取り入れるべきだ。
外国の物や、その知識、戦法だって使えば良いではないか。
恐いものなど何もない。
みんな一体何に怯え、何に危惧しているのかが理解できない。
そもそも、する気もなかった。
冷酷な仕打ちを淡々とやってのける一方で、信長は好きなものは好きであった。
妻の濃姫の父である斎藤道三の窮地には駆け付けたし、後の秀吉や家康は可愛がった。
目新しいもの、奇抜なもの、個性の強いもの。
信長はこれらをお気に入りとする。
そうして、彼はその異質さ故に時のカリスマとして戦国時代に君臨した。
しかし、その恐れ知らずの性格が災いしたのか。
信長は側近中の側近である明智光秀の手により暗殺されてしまう。
正確には、燃え盛る本能寺の中で自害をして果てた。
自分が謀反を受けた理由はずっとわからない。
光秀のハゲを笑った。だとか、大勢の前で叱り飛ばした。だとか、好き勝手に言われているが。
信長にとって重要なのは理由よりも事実。
光秀にはいつか、借りを返す。
恨み言ではない。
単純に、やられたからやり返す。
何十年、何百年とかかっても。
この場に光秀の名前が無かったのは残念だが…。
ここは良い。
人を殺めてはいけない、というルールがない。
牢獄は退屈すぎて地獄のようだった。
つまらない毎日。
そこから解放されたことが何よりだった。
(パラダイス計画は俺にとって、うってつけだよ。)
自由を得た野獣はほくそ笑む。
久しぶりの血の予感に、喜びが隠せなかった。
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