〈戦い・3〉

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〈戦い・3〉

咲が森を出ると一面に海が広がった。 (ここならスキルの発動に最適だ。) 障害物のない開けた場所は、咲のスキルと相性が良い。 少し歩いて辺りを伺う。 すると、一人の女の姿が見えた。 洋装のドレスに沢山のフリルと宝石が飾り立てられている。 その女は、豪華さとは見合わぬほどに幼い出で立ちであった。 夢中で砂に何かを描いている。 (どうせここにいる奴らは全員クズだ。私の崇高な思想と目的など分かり会えない。) 咲はそっと背中に手を回し女に近付く。 「ねぇ。この絵、何だと思う?」 顔もあげず、いまだ作業を続けながら問いかける。 その女、理央は咲の接近に気が付いていた。 しかし遊ぶことはやめない。 咲の神経が一瞬にして昂ぶる。 この女は自分を確認することなく声をかけてきた。 ふと目に入る砂の絵。 それは懐かしいフランス国旗だった。 そして、その隣には。 ギロチンの絵。 (こいつ。マリーアントワネットか。) 「ギロチンってさ、一瞬で死ぬのかと思ってたの。でもね、少しだけまだ見えて考えられるんだよ。不思議だよねー。で、そのときに思ったんだ。何で殺されたんだろう?って。」 理央は絵を書き続ける。 話も続く。 「私はただ楽しく遊んでるだけなのに。いつもみんなが責めるの。変なの。 あ、そうだ!私さ、この計画の裏技知ってるよ。殺し合わなくても、みんなでパラダイスに行ける方法。」 咲の頭が混乱しだす。 理央の話は脈絡もなく変化していくのだ。 「ねぇ。一緒に遊ぼうよ。パラダイスって凄いワクワクするよね!行きたいんだぁ、私。」
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