〈戦い・3〉

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(いかれてる…。) まともに聞いてはいけない。 そう思うのに、理央の言葉が無理矢理に入ってくる。 淀みなく続く話。 「そっかぁ。遊んでくれないんだ。…それに、さっきからその手。背中に何かあるよね?あなたも私を責めんるんだ。うん、わかった!」 (この女、一人の世界に浸ってると思ったら…。私の動きをちゃんと観察してた。こういう支離滅裂な奴は危ない。) 突如、咲の目の前に巨大なギロチンが現れる。 「な…」 理央のスキル…『ごめんなさい。わざとではないのよ』 能力…処刑道具のギロチンと処刑人たちを召喚。発動条件は、処刑人の裾を踏むこと。逆に裾さえ踏まなければ処刑は行われず無害。一度処刑が終わると消失する。 処刑人たちは歩き回るため、その裾は容易に踏めないが、成功した時はどんな力でも抗えない強力な作用で刑は必ず執行される。 咲は背中から三節棍を取り出す。 パンッ! と振ると棒が伸び、先端から布がなびく。 フランス国旗である。 それを大きく振る。 すると現れたのは数々の拷問具。そして、異端審問員たち。 咲のスキル…『神の声』 能力…媒介である旗を振ることで拷問具と異端審問員たち、処刑器具の貼り付け台が召喚される。 異端審問員に捕まると、まずは激しい拷問にかけられる。魔女審議の問いを認めると、火あぶりの刑が執行される。 認めるまで拷問は続くが、旗が振られている時間のみ有効。発動条件は彼らに捕まること。その捕捉スピードは旗の振り幅によって左右される。 旗を振るのをやめると消失する。 何もなかった海岸に、白と黒の装束がうごめく。 黒い審問員たちが理央を追う。 理央は、ひらひらと審問員たちの手をすり抜けていく。 しかし、それは逃げているわけではない。 理央は追っているのだ。 白い処刑人たちを…。
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