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〈1〉
ー前世記憶保持者専用収容所・特別会議室ー
本間忠史。
彼はここの現総管理官、リンカーン保有者である。
この男の傍らには女。
藤森和葉。
現管理官補佐、ヒトラー保有者。
二人は資料を片手に『パラダイス』の概要を説明していた。
傍聴者は国のトップを担う者たち。
それほどまでに、この『パラダイス』は重要な計画であった。
「それではスクリーンを見ながらご説明させていただきます。」
和葉が操作しながら詳細を話し出す。
忠史はそのスキル故に会議での演説行為が出来ない。
よって、こういった会議の際は和葉が、進行を行っている。
「近年、この前世記憶保持者を戦争の傭兵として利用する国々が増加しています。
日本は先立って第一保持者を発生させた国であるというのに、未だ管理の枠に留まっています。
今、日本が第四次世界大戦に突入することがあったら…。
確実に敗戦の道が待っています。」
国の要人たちは揃って顔をしかめる。
第三次世界大戦を経て、完全なる独立国となったこの国。
自国で賄う力が備えられ、一種の鎖国状態になっていた日本は此度の情勢には目を光らせていた。
何にも侵されることなく自由を得たばかりなのに、このままではどこかの国に隷属する羽目になる。
それを恐れているのだ。
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