〈戦い・8〉

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(ビンゴ、だな。) 着物姿の男を認めるなり、伸矢は声をかける。 「残りは俺たちだけだぜ?信長さんよぉ。」 「つまんねぇなぁ。この計画に乗りゃ人をバンバン殺せるって思ってたのに。戦闘ともいえねぇ殺しが二つ。たったの二つだぜ?つまんねぇよ。」 保は伸矢を見ることもなく一人ぼやく。 「俺にはそんな特殊な趣味はねえな。」 保は一瞥するとまたそっぽを向く。 「お前もつまんねぇな。」 「戦は頭だ。先走って潰し合ってくれりゃラッキーだよ。」 「気が合わねぇ。」 「同感だな。かの有名な信長さんなら俺を惚れさせてくれると思ったけど、見当違いだったな。」 保つの目が光り、ほぅ。と声を漏らす。 「やってみなきゃわかんねえよ。」 そう言うと姿が変わっていく。 信長のスキル…『鳴かぬなら殺してしまえ』 能力…一定の時間肉体を強化させ無敵状態となる。スキルによる攻撃は有効だが、物理攻撃は全て無効化できる。 つぎの発動までの時間が長いため連用はできない。 伸矢は脇に差した刀を抜く。 すると全身を茨が包み込む。 伸矢のスキル…『バラガキ』 能力…刀から出た茨で全身を覆う。刀は鞭のように使うことも可能。その棘に触れるもの全てを傷付ける。 刀が手から離れるとスキルは消失する。 保は伸矢のその姿を見据えて、にやりと笑う。 (ここにきてようやく正真正銘の肉弾戦が出来るとは。)
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