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彼らの能力はいたってシンプル。
己の肉体を使い戦うのみだ。
先に攻撃を仕掛けたのは保。
全力の拳が飛んでくる。
刀で何とか受け止め、その流れで斬り返す。
急所を狙ったつもりだったが、斬れたのは腕。
しかし。
(ガードされたか。しかし硬いな。大した傷になってねぇ。パワーだけの強化じゃないって事か。ただ、スキルは有効ってとこだな。)
すかさず右から回し蹴り。
反対に体をひねるが、今度は左から蹴り込まれる。
紙一重で鞘を使い受けると、腹に強烈な一撃が響く。
瞬時に茨が腹部を守ったが、その衝撃はしっかりと届いている。
生身で受ければ穴が空くでは済まない。
伸矢は息を整える。
保は血が滴り落ちる拳を見て高らかに笑う。
「はは!何だよ。お前。楽しいじゃねぇか!!」
「俺は楽しくねぇよ。」
ケホケホとむせ込み、唾を吐く。
「つくづく合わねぇなぁ。」
そう軽口を言いながらも手は止まらない。
受けの一方になっている伸矢の額に滲み出る汗。
(防戦一方じゃ勝てない。どうにか攻撃に回らねぇと。)
まるでマシンガンのように、拳から繰り出される打撃。
それを刀と鞘を使い受け流す。
スパートの最後の一撃は全力の蹴り。
それは伸矢の腹に入り、ミシリと嫌な音を立てた。
(あばらがいったな…。)
精神を集中させ、茨で骨の周辺の補強していく。
刀を構え直し上段のフェイント。
後ろに回り込み、背中の中心、心臓部を狙い深く突く。
が、刃先は入ったものの、筋肉により止められてしまう。
保は肉体の強度を更に上げていく。
スキルの時間切れが迫っている。
(あと数分か。)
刺さった刀を奪おうと体を大きく動かすが、茨の棘によって肉片を抉られただけである。
体から抜けた刀が首をめがけて振り下ろされる。
保はそれを大きく避けると、踏み込んで体当たりを決める。
伸矢はその威力を後ろ足で耐えつつ、刀を振ると鞭のように伸びでた茨が保の首を捕らえた。
保は力を入れ弾き切る。
「お前、前世は何だ?」
「…土方だよ。」
「新選組か。どおりで。お前らの敗因は何だったかわかるか?」
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