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〈2〉
スクリーンに映し出されている十人の顔写真。
その上には『パラダイス計画』の文字。
「ご注目ください。彼らは『前世スキル悪用罪』により収容されている者たちです。写真の下には細かい犯罪名が記載されています。
今回の計画にはより重い犯罪歴をもつ彼らに実行していただきます。
なお、被害を出さないため実地場所は無人島で行うこと。
平等性を保つため二十歳のメンバーで統一いたしました。」
「藤森君!そろそろ本題に入ってくれないか。何なのだ、結局この『パラダイス計画』とは!我々は一体何を見せられる。
犯罪者とはいえ、これは人身御供を決めるための人体実験のようなものだぞ。
納得のいく話なんだろうな?」
当然の疑問ではある。
人体実験と言えば、その通りだろう。
だから彼らを『使う』のだ。
犯罪を犯し、このまま終身刑として牢獄に繋がれたままのはずだった。
強力な力を持つ彼らは、本来ならば死ぬまで外に出すべきではない。
ここに映る十人は、まさにそんな者たちである。
故に、初めての試みとして最適な人材。
「先ほどお話しした通り、これは特殊部隊の編成のための計画です。
ただし、当人。また世間には極秘で行います。
『パラダイス』に選ばれるのは一人。
ようするに、彼らにはその一人になるために…。
殺し合っていただきます。」
どよめく空気。
一気に緊張感が高まる会議室。
誰かがポツリと呟く。
「殺し合い?…そんなの、非人道的だ…。」
それに反応したのは和葉。
彼女はこれまでに一切の私情は見せず、極めて淡々と説明をしてきた。
しかし、突然怒りをあらわにする。
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