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「何が…でしょうか?
彼らは非道な極悪犯罪者たちですよ?その被害人数に比べて、こちらはたったの九人の命。これで日本最強の武器が作れるのです。
彼らが犯してきた罪を見てください。どちらが非人道的ですか?
…あいつらは、自分のスキルを使い己の欲望を満たすだけの化け物たちだ。
そういう奴らのせいで我々スキル保有者は世間から白い目で見られる。
脅威、まさに危険な人間。そんな奴らは苦しんで…」
「藤森。やめろ。」
忠史が一言。
和葉は我に返る。
静まる周囲、凍った空気。
彼女の中のヒトラーが声を上げる。
かつてユダヤ人を恐れたように、優れた能力を持つ人種を過剰に敵視してしまう。
収容所とは、彼女にとっては当然の場所で、もっとも馴染みの深い所なのだった。
「…失礼しました。とにかく、この計画はここだけの話にしていただきたいのです。犯罪者たちは軍人ではない。あくまで一般人、だからこそ極秘で行うのです。
まずは今回の計画で一人を軍人として育てる。成功と見られた場合は、第二第三と計画を続行し、最終的に最強の部隊を作る。という訳です。」
「いや、ちょっと待ってくれ。その部隊を作るとしたら何も一人に絞ることはないだろう?そもそもそんな実験をする必要もない。立候補者を募れば良いじゃないか!」
「お忘れですか?彼らは犯罪者ですよ?立候補のその言葉は果たして信用できるのでしょうか。二人三人と同じ場所にいて安全だとでも?それこそ管理の範ちゅうを超えるリスクしかないですよ。それに…。収容所に入れられて、この国に恨みがないと思いますか?」
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