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「いいえ。彼らが今何よりも欲しいものは『自由』です。外に出れるのは本当ですが、実際は軍隊への強制参加。彼らは『パラダイス』を離れ小島で自由に暮らせる権利だと思っています。一生を暗い牢獄で終わらせる予定だったんです。それはそれは食いつきましたよ。」
「そんなの…。暴動が起こるに決まっている。やはり許可出来ない!」
和葉は目を細める。
「言ったでしょう。管理は怠らないと。軍事管理は適任者に長官を勤めていただくので問題ありません。それから…。」
和葉は目をやる。
忠史がすっと立ち上がり声を発する。
「私のスキルはね。少々難儀なところがありまして。一度洗脳したものを書き換えるには前の洗脳が切れる必要がある。一回の洗脳内容は一つのみ、といった縛りがあるんです。勝者には定期的な洗脳を行う予定です。では、なぜ今か。わかりますか?
このタイミングじゃなきゃ駄目だった。彼らと、あなたたちの洗脳が切れる。この時じゃないとね…。」
『これは必要なことなんです。パラダイスの許可を出しなさい。』
忠史が話終えると、ところどころから賛同の声が響き出す。
何て素晴らしい計画だ。すぐに実行しなさい。
日本も必要なシステムだと思っていたよ。
さすが本間君、行動が早い。
忠史はそんな彼らを気にもかけずスクリーンを戻す。
十人…。
彼らはこれから『自由』という喉から欲しいものをかけて殺し合う。
そうして手に入れる『パラダイス』。
あとは、死ぬまで日本の殺戮兵器となるための『楽園』。
(何、死んだら転生する。それだけだよ。前世記憶保持者という存在は…。)
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