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「俺のこの頭は向こうの世界で母さんに切られたんだよ。『何でそんな変な頭にしてるの』って。病院でも『ラーメンマン』とか『昔の中国人みたいだ』とか皆、おかしな目で見るし。服も洋装に変えられた」
相手は窮屈そうにお下がりの長袍の肩を竦めた。
「ちょっと妙な洋装だったけど、着る分にはそっちの方が楽だったな」
「それじゃ」
にわかには信じがたいが、かといって否定してはいけない気が強くする。
「この二ヶ月の間、酷い目に遭わされたわけでもないの?」
本当は日本街のどこかに監禁されて辛い生活の中で毎日帰りたいと願った結果、進は別世界で親しい人たちと暮らしていたかのような錯覚に陥っているかもしれないのだ。
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