どうか幸せに…

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どうか幸せに…

オフィスへと向かう廊下の先に恵真の姿を見つけて、伊沢は少し戸惑った。 声をかけようか迷っていると、ちょうどオフィスから出て来た大和が恵真に気づき、近づいて何か話し出す。 恵真は立ち止まって大和を見上げ、一言何か返したあと、にっこり笑ってみせた。 それを見た伊沢は、思わずくるりと向きを変え、もと来た道を戻る。 心がざわつき、たまらず更衣室に駆け込んだ。 壁に手をついて大きく息を吐く。 (7年間、ずっと恵真をそばで見てきた。あいつの表情一つで、何を考えているのか手に取るように分かる。さっきのあいつの笑顔…見たこともないような幸せそうな顔…) 間違いない。 恵真は佐倉キャプテンが好きなんだ。 重くのしかかる現実に、伊沢は打ちひしがれて動けずにいた。
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