単位ほしい...?

16/20

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「嘘は言ってませんよ。ほら、この表紙のはじっこに小さく書いてあるでしょう。この資料を使用して発表した後、あなたの魂をお迎えに上がります。って、隣の子にも見て確認してもらいます?ほら駄々をこねないで行きますよ」 「そんな、そんなギリギリ読めるかの小さな血文字で分かるもんか。他にも血が飛び散っていて読みにくいのに...!! おい、こら、僕にさわるなよ、さわ、ううううううううううう、止めて、止めて、止めてください、お願いだからあああああ!! ああああああああああああああああああああああああ、う、、う、たす、け、、」  と本田は悲鳴をあげて暴れるがヤギ男は本田を体を抑えつけると、手で胸を貫いて、何かをひっぱりだした。その瞬間、本田の体はぴくりとも動かなくなった。  するとヤギ男はスッと立ち上げって、本田の体をポイっと廊下へ落とした。そしてヤギ男の右手には体が透けている本田がいた。まるで猫の首を掴むみたいに本田の首を持っている。本田は、自分の真下にある自身の体を見つめて、呆然としているようだった。  ヤギ男はやれやれと言った様子で、左手に持っていたあの”資料”を俺に見せびらかす。 「運がよかったですね、君。まったくこっちは大損ですよ」  そういった瞬間、資料はぱっと火が点き、あっという間に燃えあがって、何ひとつ残さずに燃え尽きてしまった。 「さて、帰りますよ。ちょうど新鮮な労働力が欲しかったところなんです。最近の魂は軟弱な奴が多くて困っていてね。君も軟弱そうだけど、まあ若いからなんとかなるでしょう!私がビシバシしごいてやりますからね」  ヤギ男は、出口に向かって、歩き始めた。本田の魂を引き摺りながら...、本田は必死にこっちに手を伸ばしながらこう言った。 「助けて、佐藤君!! 助けてよ、今まで僕がさんざん助けてやっただろう」  と俺に助けを求める。でも、俺にはどうすることもできない。俺の姿に絶望したような顔をする本田。 「佐藤、お前さんざん助けてやったのに、いろいろメリットがあると思ったから助けてやったのに!自分ばかり良い思いしやがって、ふざけるな!! いつか、おまえも地獄に落ちるからな...! 許さない、許さない!」  と俺に向かって怨嗟の言葉を吐く本田。するとヤギ男少しイラついた様子で本田の首を絞めると、 「黙りなさい、今回の契約に彼は関係ありません。あなたの意志で行ったことです。地獄に落ちる、ええ、そうです。あなたが先に落ちるのですよ。これから一緒に頑張ろうじゃないですか」  そう言ってヤギ男が左手をあげると、一番奥の研究室のドアをひとりで開いた。そこには、ありえない光景が広がっていた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加