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ドンッ、ドンッ、ドンッ
と背後から音がする。すると先ほど数えたら縦に2個ずつ並んでいたポストの上に1個明らかに場違いなポストが一つポンと乗っていた。
「嘘だろ、さっき数えたときはこんなポストなかったぞ」
と背筋がすっと冷えた。これはヤバイ気がする。人が関わってはいけない領域だと直感する。
この場をすぐに離れようとした瞬間、本田の顔が頭によぎって、足が止まった。
そうだ、俺は負けられないんだ...。
そう決意し、ポストの取っ手に手をかける。恐ろしく冷たい取っ手を触れると体の中に何かが駆け巡った感覚がする。
正直に言うとものすごく恐ろしい。でも後には引けないという思いから、
「おらっ!」
と取っ手を勢い良く開けた。中にはクリアファイルと資料が入っていた。俺は勢いよくクリアファイルを取り出す。すると、
「うわ、気味悪......」
資料の一番上の表紙は、白い紙に血文字で書かれている。そして、不気味なヤギの生首が描かれていた。資料に書かれていた内容を読んでみると
【この資料を読まれている学生の皆さん、こんばんは!私は君たちの先輩です。さて時間がないので、簡潔にご説明いたしましょう。この資料は、学生の皆さんが喉から手が出るほど欲しいと思われる卒業論文の資料です。資料を取った皆様ごとに、カスタマイズをしていますのでご心配なく。この説明を読み終わった後、私はあなたを追いかけます。ルールは簡単、私に捕まらなければいい。捕まったら最後、あの世とこの世の境に連れていきます。そこでどうなるかは、秘密ですよ。無事学校の外へ逃げきれたら、資料はあなたの物です。ご自由にお使いください。ただし後程資料は、回収させていただきます。では、ここまで読みましたね。準備はいいですか?楽しい鬼ごっこを始めましょう!】
最後の一文を読んだ瞬間、寒気を感じた。そして、
カツンッ、カツンッ
と廊下から足音が響き渡る。
嘘だろ...!こんな真夜中に旧館に人がいるはずねえ。ヤバイ、とにかく、逃げないと。これは”本物”だ。俺は逃げるように旧館から全速力で飛び出した。
「ああ、今年の学生はみな優秀ですね。逃げるのが早い早い。でも、逃げきれますかね?」
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