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「てめえ、ふざけたこと言ってんじゃねーぞ」
脱力したままの兼嗣の胸ぐらを掴み、無理やりに顔を上げさせる天満。
「右京さんがどんな思いで、お前を助けたと思ってる。あの人が身を挺して守ってくれたその命を、お前は投げ捨てようっていうのか!?」
その言葉に、兼嗣はわずかに瞳を揺らす。
だが、迷いの色を拭えないその目は天満の方を向いていない。
そうこうしている内に、怪物は重苦しい雄叫びを上げ、またしてもこちらへと近づいてくる。
大きく開かれた巨大な手が、平手打ちをするようにこちらへと迫る。
天満はチッと舌打ちすると、再び兼嗣の体を安全な場所へと突き飛ばした。
そのまま眼前まで迫った巨大な手のひらの衝撃を全身で受け止める。
ドッ、と重い音を立てて、天満の体は横方向へと弾き飛ばされた。
そのまま十数メートルの弧を描いてから、地面へと叩きつけられる。
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