第四章 島根県出雲市

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  「武藤家の倅よ。ここで死ぬつもりか? 自らの生み出した呪いに殺されたとあれば、それは自殺と変わらない。現世に戻ることは二度と叶わんぞ」  そんな時治の忠告にも耳を貸さず、兼嗣はその場を動こうとしなかった。  巨大な足は容赦なく彼の頭上へと迫る。  そして、 「兼嗣!」  今にも踏み潰されようとした刹那。  どこからともなく現れた影が、兼嗣の体を掻っ攫うようにして駆け抜けた。  直後、ドスン! と巨大な足が地面を踏みつける。 「あっっっぶねえぇー……」  冷や汗を流しながら、すんでのところで兼嗣を救い出したのは天満だった。  彼は危機を脱したのを確認すると、両腕で抱え上げていた兼嗣の体をペッと地面に投げ捨てる。 「おい金ヅル。いつまで凹んでるんだよ。このままじゃ殺されるぞ。しっかりしろ!」  天満は苛立ちを露わにするが、対する兼嗣はその場に転がったまま起き上がろうともしない。 「天満か……。余計なことすんなや。俺はここで死ぬんや。……いや、死ななあかんねや」  
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