140人が本棚に入れています
本棚に追加
着物ごと全身がずるむけになり、視界が赤く染まる。
おそらくは致命傷に近い。
しかしこれだけのダメージを打ち返せば、あの巨大な怪物にも太刀打ちできるかもしれない。
「……永久流・呪詛返し!」
痛みと鉄の味に染まる口を無理やりに動かして、天満が叫ぶ。
途端、彼の全身が青い光を放ち、それは怪物の体をも飲み込んで爆発を起こした。
激しい土煙が、その場一帯に吹き荒れる。
「やったか!?」
瞬時に体を回復させた天満はその場に立ち上がり、期待を込めた目で煙の先を見た。
だが、
「まだだな」
そう答えたのは時治だった。
彼の言った通り、土煙の晴れたその場所には、変わらず巨大な黒い怪物が立っていた。わずかにダメージを受けているようにも見えるが、おそらく致命傷には程遠い。
最初のコメントを投稿しよう!