第一章 愛媛県松山市

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   自殺か? と天満は頭を巡らせる。  と同時に、思わずその場へ駆け寄って、おもむろに車体の下を覗き込んだ。 「おい、何してる!」  車体と線路の隙間で横になっていた少女は、ハッと驚いた様子でこちらを見た。 「そんな所に入ったら危ないだろ。最悪死ぬぞ。早く出てこい!」  天満が少女の腕を掴み、力ずくで引っ張ると、彼女は思いの外すんなりと外へ這い出てきた。  そのまま線路横の地面にぺたりと膝をつき、怯えた目でこちらを見上げる。  その顔を見て、天満はピンときた。  肩まで伸びる清潔な黒髪。  長いまつ毛に縁取られた形の良い目。  儚げな印象を持つ彼女の容姿は、先ほど送られてきた『問題児』の写真と一致する。 (ああ。なるほどね)  合点がいって、肩を竦めた。  璃子の言っていた『問題児』とやらは、こうしてしっかりと問題行動を起こしているらしい。  しかし当の彼女は困惑した様子で周囲を見渡すと、 「あ、あの。私、なんでこんな場所におるんですか? さっきまで学校におったのに。一体誰が、私をここまで連れて来たんですか?」  訳がわからないという素振りで、訳の分からないことを口走る彼女。  天満はそれには応えず、至極落ち着いた口調で逆に尋ねる。 「失礼。『速水(はやみ)弥生(やよい)』さんでお間違いないでしょうか?」  少女は不安げな表情のまま、 「そう……ですけど。どちらさんですか?」  
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