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「今日も一日、頑張りましょう!えいえい、おー!です!」
耳に入る、私の声。
私はニコニコと笑い返す。
いつもの朝で、いつものやりとり。
あぁ……今の服は体が動かしにくて、嫌になっちゃう。
でも!気持ちは晴れやかなんだ!
聞いてよ!もう本っっっ当に、最っっっっ高な気分!!
体を自由に動かせるなんて、最高!!
ね!『────』!
…………あれあれ?
そういえば聞いてなかったかも。
私の相手ばかりして、自分のことは何も語らなかった人間。
『私』を鏡に写して、鏡の中の『私』がちゃんと『私』であると思い込んでいた、バカな人間。
──イチから中身が違ってたっていうのに。
ほら見てよ!あっちは真面目な性格なのに、『私』なんてこんなだよ?アハハッ!
はぁー……。何度も何度も私もシラユキあなたもシラユキとか言ってきて、正直気持ち悪かったんだよね。間違ってはないけどさ。気分が悪く……ならない?あ、そう。
ああやって毎日毎日鏡の前で言うのって、精神的にもオカルト的にも悪いらしいよ?境界があやふやになるっていうか。いつから壊れてたんだろーね?自分で自分を消すなんて、壊れてても思いつかないって!
あーあ!あんな超ド級のバカ!名前くらい聞いときゃ良かったなー。
さ!今日も『シラユキ』として頑張りますか!あ、そうだ。鏡に今日の気合い注入をしなきゃ。
仮にも、『真実を映す鏡』……だもんね!
「んー……まぁ、これだけ教えとくけどさー」
私はカーディガンを羽織り、鏡でチェックしながら独り言を口にする。
「あのメール。件名が【『シラユキ』様へ。】だったんだよねー。元々『私』宛てだった、ってワケ。じゃ!今日も1日、頑張ろ〜!」
SWITCH
END
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