旭のお話

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あーぁ、知らねぇぞ…俺は。 こいつは、本当に自分のことに関しては疎いな。 本人は全く気づいていないようだが、周りからは、完全に好意を寄せていると思われているだろう発言。 俺は額に手をあてて項垂れていると、我に返った立花が慌てたように口を開いた。 「え?うん。いや…その、あの…そ、それじゃあ、また明日!!」 案の定、立花は動揺した様子で逃げるように走っていってしまった。 おいおい、あいつ大丈夫か…。 「あぁー、凄い速さで行っちゃったねぇ。どうしたんだろう?」 「今のはお前が悪いだろ……」 「なんで?」 「なんでもねー」 はぁーっとため息をつきながら言うと、意味がわからないといった表情で俺を見ている。 無自覚って恐ろしいな。 こいつにはもう少し気をつけるように言わないとだめなのか? 「…なぁ、一輝は立花のこと好きなのか?」 答えは何となくわかっていたけれど、一応確認してみた。 一輝はきょとんとした後、すぐに笑顔になり少し首を傾げて答えた。 「うーん、友達として好きだよ」 「…だと思った」 予想通りの答えに、興味なさげに返事をすると 一輝は少しムッとした顔で俺の顔を覗き込んでくる。 「急になんで?」 「別に」 一輝はふーんと言って、不思議そうな顔をして首を傾けている。 面倒事に巻き込まれるのはごめんだ。 さっきのこともあるし一応忠告しておくか、このままだといつか絶対に面倒なことになりそうな気がする。
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