11人が本棚に入れています
本棚に追加
あーぁ、知らねぇぞ…俺は。
こいつは、本当に自分のことに関しては疎いな。
本人は全く気づいていないようだが、周りからは、完全に好意を寄せていると思われているだろう発言。
俺は額に手をあてて項垂れていると、我に返った立花が慌てたように口を開いた。
「え?うん。いや…その、あの…そ、それじゃあ、また明日!!」
案の定、立花は動揺した様子で逃げるように走っていってしまった。
おいおい、あいつ大丈夫か…。
「あぁー、凄い速さで行っちゃったねぇ。どうしたんだろう?」
「今のはお前が悪いだろ……」
「なんで?」
「なんでもねー」
はぁーっとため息をつきながら言うと、意味がわからないといった表情で俺を見ている。
無自覚って恐ろしいな。
こいつにはもう少し気をつけるように言わないとだめなのか?
「…なぁ、一輝は立花のこと好きなのか?」
答えは何となくわかっていたけれど、一応確認してみた。
一輝はきょとんとした後、すぐに笑顔になり少し首を傾げて答えた。
「うーん、友達として好きだよ」
「…だと思った」
予想通りの答えに、興味なさげに返事をすると
一輝は少しムッとした顔で俺の顔を覗き込んでくる。
「急になんで?」
「別に」
一輝はふーんと言って、不思議そうな顔をして首を傾けている。
面倒事に巻き込まれるのはごめんだ。
さっきのこともあるし一応忠告しておくか、このままだといつか絶対に面倒なことになりそうな気がする。
最初のコメントを投稿しよう!