旭のお話

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その瞳からは静かに涙が頬を伝っている。 涙で濡れる瞳から俺は目が離せなかった。 心臓が凄い勢いでざわざわと音を立て始めて、胸の奥から熱い何かが広がっていく。 何なんだよ…。 「俺なら立花を泣かせない」 ん?俺は、今、何を思ったんだ? 何を考えている? そんな馬鹿な言葉が頭を過ると、勝手に足が動いていた。 「おい!」 立花に声をかけると、ビクッと身体を震わせたが気にせず、手を掴むと強引に引っ張って走り出していた。 後ろで立花が何かを言っていた気がするけど、今はとにかくこの場から離したかった。 触れている手から、熱が広がり身体中が熱くなるのを感じる。 走ってるせいか、それとも別の理由か、鼓動が早くなる。 この手をずっと握っていたいと思ってしまった。 そんなの立花にとっては迷惑でしかないのに。 どこへ向かっているのか自分でもよく分からなかったが、校舎から少し離れた開けた場所で立ち止まった。
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