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誰か声かけてやれよ…。
あー、見てらんねぇ。
チッ!
心の中で舌打ちをした瞬間、無意識に口が動いた。
「おい、一輝!」
「ん?どうしたの?」
振り返った一輝が不思議そうな顔をするのを見て声をかけてしまったものの、何も考えていなかった俺は言葉に詰まった。
あー、めんどくせぇ…とまた小さく舌打ちをする。
「あぁ、いや、やっぱりいい……」
そう言って顔を背ける俺を見た一輝は少し考え込んだ後、何かを察したのか、ふっと笑いおもむろに立ち上がって、すたすた歩いて俺の肩をぽんと叩くとそのまま立花の方へ向かった。
「立花さん、もしよかったら一緒に勉強しない?」
人当たりのいい笑顔で一輝が話しかけると、突然の誘いに驚いて固まっていた立花が、はっと我に返り、顔を真っ赤にしてうつむき頷くと促されるまま、おずおずと集団の中に入っていった。
さっきので一輝は俺が何を言おとしてたことを理解したのか相変わらず、察しがいいというか、気が利くというか…流石だな。
あんな態度を見ると、やっぱり立花は一輝のことが好きなんだろうと確信した。
まぁ、俺には二人がどうこうなろうが関係ないことだし別にどうでもいい。
そう、別にどうでもいいはずなのに、なんでこんなに胸がざわつくんだ。
なんだこれ⋯?
それからチャイムが鳴り
すぐに授業が始まったため、深く考えることはなかった
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