旭のお話

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でも、一輝の態度は他の女子に対するものと変わらないから立花だけが特別ってことじゃない。 あいつは誰にでも勘違いさせるようなことをするから厄介だ。 まぁ、かっこいい男にあんな風にされれば女なら誰でも好きになってしまうか。 俺が女でも惚れるかもしれない…。 いや、ないな。ないない。 そもそもあれだけモテるくせに彼女や好きな奴がいる話を聞いた事がない。 一輝が彼女を作ればみんな諦めつくかもしれねぇのに、いつまでも告白してくる女子を断っている。 もったいないやつ。 そんなことを思いながら、ぼんやり眺めていたら不意に一輝と目が合うとにっこり笑いかけられ、こっちらにひらひらと手を振ってくる。 無視するわけにもいかず軽く手をあげて答えると、隣の立花もぺこりと頭を下げられた。 面倒臭ぇ……。 あいつ何でいちいち俺に絡んでくるんだよ。 はぁ……、と小さくため息を吐くと胸の中がざわざわするような変な感覚に襲われた。 この感じ前もあったな…。 何なんだよ、これ? 意味わかんねぇ。 何とも言えない気持ちの悪さに俺は眉をしかめるしかなかった。
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