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そんなに走ってないのに息が上がっている。
佐竹くんと目が合うと掴んでいた手を離してくれた。
佐竹くんが急にポケットの中を探しだしたのを見て首を傾げる。ハンカチを探しるみたいだけど、見つからないのか慌て始めた。
それを見ていたら、つい笑ってしまった。
ああ、そっか私、泣いてたんだ…。
笑っているうちに少しずつ冷静になってきた頭で考えることが出来た。
さっきのも見られていたのかな、気まづいよ。
恥ずかしさが込み上げてきたけど悟られないように、精一杯平静を装って口を開いた。
溢れ出くる言葉は止められなくて、それを佐竹くんは黙って静かに聞いてくれていた。
あぁやっぱり、彼女が居ても私はまだ大場くんが好きなんだな。
そう簡単には諦められないみたい。
初めてちゃんと佐竹くんと話したのに、こんな話で急に申し訳なさが込み上げて謝り、お礼を言いってその場を去ろうとしたら呼び止められた。
佐竹くんの言葉を聞いて、私はどうやら今まで彼のことを誤解していたみたい。
優しくて、人を思いやれる人なんだと分かった瞬間、心がじんわりと温かくなった。
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