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あの日以来、佐竹くんと少しずつ話をするようになった。
たまに、見せる笑顔はいつもの無愛想とは違い、年相応の男の子らしく可愛いくてイメージがガラリと変わった。
大場くんに彼女がいると思って泣いたあの日、私は大きな勘違いをしていたらしい。
抱き合っていたように見えたのは、泣きつかれて一方的に抱きつかれたみたいで、そんな関係ではないそうだ。
それを聞いてホッとした反面、私の早とちりで恥ずかしくなって顔が赤くなるのが分かった。
佐竹くん曰く、大場くんは昔からああいう性格だから、女の子に人気があるけど、告白されても全部断っていると言っていた。
「私、まだ大場くんが好きなの」
消えてしまった希望の光がまた灯る。
まだ、好きでいていいんだ……。
その話を聞いて、ホッとした顔の私を佐竹くんは眉を下げて困ったように笑っていた。
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