優芽のお話

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今日は朝から雨が降っていた。 湿気のせいで髪の毛が上手く纏まらないし憂鬱になるし、登校中に傘がぶつかりそうになったり、水たまりを避けようとして泥水を思いっきり踏んでしまって最悪だった。 そんな中でも、今日の放課後も変わらず図書室へ向かうために教室を出た。 図書室に着くと、奥の席に大場くんの姿が見えて私は自然と笑む。 勉強しているようで、邪魔しないように彼から見えない少し離れた席に座って読みかけの小説を開いた。 しばらくして、図書室に誰かが入ってきた気配を感じた。 「一輝!何が図書室で勉強しようだっ!そんなの家でやればいいだろが」 この声は佐竹くんの声だ。 「だって、家だと集中できないんだよ。たまには図書室もいいかと思ってさ」 「俺は落ち着かねぇよ」 二人の会話が聞こえてくる。 「そう?意外と集中できるんだよ」 「俺は出来ねぇ」 「旭の場合、集中力の問題じゃないだろ」 「うっせーな!」 「ほら、静かにしないとダメだよ」 静かな図書室に、二人の声が響き渡り、思わずクスッと笑ってしまう。
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