11人が本棚に入れています
本棚に追加
佐竹くんと一緒にいる時の大場くんの表情は、すごく優しい表情で、やっぱり笑う顔も他の人に向けるものとは違って、別人みたい。
ふっと大場くんの笑った顔が消えて切なそうに窓の外を眺める姿が視界に映り込んだ。
まただあの表情…。
「ねぇ旭。僕たち、いつまでこうやって一緒に居られるかな…」
大場くんがポツリと呟いた言葉に、ドキッとする。
「はぁ?何だよ。急に」
鞄からノートとペンを取り出して大場くんの参考書を覗いていた佐竹くんが顔を顰めながら、怪訝そうに聞く。
「ずっと一緒だったからさ、この先も一緒なんだろうなって思ってたんだけど。いつか別々の道に進む日が来るかもしれないって、思ったら何か、急に少し寂しくなっちゃったんだよねぇ」
大場くんが寂しそうに笑って言った言葉を聞いて、今まで見た表情の意味も胸に引っかかってた違和感も全てが繋がった気がした。
そっか…。そうだったんだ。
動転して頭が回らない私をよそに二人の会話は続く。
「あ?勉強し過ぎて頭おかしくなったか?熱でもあるんじゃねぇの?」
そう言って、佐竹くんが大場くんの顔を覗き込んだ。
「失礼な奴だなぁ。まぁ、別に深い意味はないんだけど。…そう思っただけだよ。それに、僕が居ないと旭は寂しいでしょ?」
ニヤリといたずらっ子のように口角を上げて笑いながら、大場くんが佐竹くんに問いかける。
「いや、全く」
真顔で答える佐竹くんを見て、大場くんが口を尖らせる。
最初のコメントを投稿しよう!