11人が本棚に入れています
本棚に追加
「えー、酷いなぁ。少しは素直になったらいいのに、ほんと旭は捻くれてるよね」
やれやれといった感じで肩を竦めた。
「うるせぇよ」
フンっと顔を背けると、手に持っていたペンとノートを鞄にしまい始めた。
「あれ?もう終わりにするの?」
大場くんが目を丸くして驚くと、佐竹くんはバツが悪そうな顔をした。
「お前が変な事言うから、気が散ったんだよ」
「え?僕のせい?ごめんね」
佐竹くんがフッと笑ったかと思うと、慌てて謝る大場くんの頭にポンっと手を置いて撫でた。
「冗談、本気にしたのかよ。バーカ」
ニヤッと笑う佐竹くんの顔を見て、大場くんはムッとした顔をした。
「バカじゃない!なんだよ冗談って」
大場くんは頬を膨らまし、子供みたいに文句を言うと、プイッとそっぽを向いた。
その様子を見た佐竹くんは、ククッと笑って立ち上がる。
「雨、止んだみたいだな。帰るぞ」
鞄を持って出口の方へ歩いていく。
「ちょっと待ってよ」
急いで荷物を纏めて、佐竹くんを追いかけていく大場くんの背中を見つめながら、私はその場から動けずにいた。
最初のコメントを投稿しよう!