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知ってはいけなかったかもしれない。
見て見ぬふりをしろと、頭の中で警笛が鳴る。
頭では分かっているのに考えが巡る。
いつだって、どんなに綺麗な人や可愛い子から告白されても断ってたほんとの理由は好きな人がいるからだったんだ。
大場くんはきっと…佐竹くんのことが…好きなんだ……。
なんで気づかなかたったんだろう。
だからあんな切ない顔をしていたんだ……。
私は、本当に馬鹿だ。
こんなに苦しくなるなら、知らないままで良かった。
どうしたらいいのか分からない。
鼻の奥がツンと痛くなって、目から涙が零れた。
窓から差し込む光は、さっきより明るくなって雨が上がったことを知らせているけど、私の心はどんよりとした雲に覆われたままだった。
振り向いてくれるはずなのない恋をしていると知ってしまった夏のはじまり。
隣であんな風に笑ってくれるのが羨ましかった。
私が男の子だったら、隣に立てたんだろうか…。
そんな意味の無いことまで考えてしまうほど、私はこの想いに蓋をすることが出来なくなっていた。
恋ってなんて上手くいかないんだろう。
私の好きな人には好きな人がいる。
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