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掃除終わりに一輝が待っている図書室へ向かう。
一緒に帰ろうと言われて別に断る理由もないから、素直に従った。
ドアを開けると、窓際の席で読書中の一輝の姿が目に入り俺は静かに近づいて向かい側に座る。
窓から差し込む夕日の光が眩しいのか、目を細める一輝の顔は何だか様になっていて、不覚にも胸がドキッとした。
こいつ、ほんと無駄にイケメンだな。
「いつも本読んで楽しいか?俺だったら絶対無理」
「んー、楽しいかどうかは分かんないけど、知らないこと知るのは面白いよ」
一輝は俺の問いに対して、読んでいた本から視線をこちらに向けて楽しそうに笑いながら答えた。
「…へぇ」
俺の返事に一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
静かな図書室には俺達二人だけしかいないらしく、外から部活をしている生徒の声が聞こえてくるだけでとても静かだ。
「まだ帰らねぇの?」
一輝は首を横に振った。
今日はまだ少し残るらしい。
どうせ帰ってもすることねぇし、暇だから俺も付き合ってやるかな。
本に興味のない俺は机に突っ伏し寝る体勢に入ろうとした時、図書室の扉が開いた音がして顔を起こし扉に目を向けると、そこには立花がいた。
俺と目が合うと、驚いた顔をしたあと申し訳なさそうにペコリと頭を下げた。
「あ、ごめんなさい、お邪魔しました!」
一輝が本から顔を上げて声を掛ける。
「えっ!?全然大丈夫だよ!気にしないで!」
一輝の言葉に安心したようにホッと息を吐いた立花はそのまま本棚の方へ向かった。
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