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棚の一番上にある本を取ろうにも、背が低くて何回背伸びをしても取れずに棚の周りをウロウロしている。
一輝は本に夢中なのか気づかないし、他に生徒もいないから立花を助けてくれる奴はいない。
…チッ、何やってんだよ。めんどくせぇ奴。
痺れを切らし、渋々席を立って立花に近づくと後ろから手を伸ばし、目的のものを取って渡してやった。
このまま放っといても良かったが、あまりにも必死だったから仕方なく助けてやった。
いきなり背後から伸びてきた手に立花はビクッと肩を震わせたが、振り向いて本を受け取るともじもじと俯きがちにお礼を言ってくる。
「あ、ありがとうございます…」
「…別に」
なんで敬語なんだよ、と思ったが口には出さなかった。
長い睫毛に、ふっくらとした赤い唇、サラサラの髪、白く柔らかそうな肌。
近い距離で立花の顔を初めてちゃんと見た俺は何となく居心地悪く感じた。
それに、心臓がドクンと脈打った気がして、誤魔化すように眉間にシワを寄せる。
お礼を言われたことにも何故かむず痒さも感じ、顔を背けた。
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