異世界人喰い種族①

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異世界人喰い種族①

 お腹が空いた。お腹が空いた。  食べたい。食べたい。  もぐもぐ。もぐもぐ。  ぱくぱく。ぱくぱく。  お腹が空いた。お腹が空いた。  足りない。足りない。  しゃきしゃき。しゃきしゃき。  くちゃくちゃ。くちゃくちゃ。  お腹が空いた。お腹が空いた。  まだ食べたい。まだ食べたい。  がりがり。がりがり。  ごりごり。ごりごり。  お腹が空いた。お腹が空いた。  まだ足りない。まだ足りない。  くちゅくちゅ。くちゅくちゅ。  ねちゃねちゃ。ねちゃねちゃ。  あー、お腹が空いた。あー、お腹が空いた。  食べ足りないや。食べ足りないや。  甘くて美味い。  酸っぱくて美味しい。  塩っぱくて美味しい。  臭くて美味しい。  たくさん食べたい。たくさん食べたい。  お腹が膨れるまで。お腹が膨れるまで。  たくさん食べたい。たくさん食べたい。  口の中いっぱい。口の中いっぱい。  満たされたい。満たされたい。  身体が欲しい。身体が欲しい。  あなたの身体を食べたい。  ───私は意識を取り戻した。  人の気配のない建物の裏手。灯りもほとんどなく、近くに道すらも見当たらない。  そんな場所にいる私の目の前に広がるのは、地面に広がった血溜まりと人型の肉の塊。  これは私がやったことなのだと理解して視界が滲んで霞んでくる。  ああ、やってしまった。  またもや、やってしまった。  繰り返すこと三度。今回で三度目だ。もう嫌だったのに。嫌だからやめたいと思っていたのに。どうしてもやめられない。  私の中に取り込んだモノが何か罪悪感のような物体を含んでいるように思えて気持ち悪くなる。  このまま吐き出してしまいたい。  その気持ちに従うがまま、右手の人差し指と中指を口の中に入れると、そのまま喉まで入れて掻き出すように指を動かした。 「うごぉ……、おぇっ……おげぉっ!!」  胃が動くのがわかる。そこから焼けるような熱がお腹、胸、喉と湧き上がってきて、口から赤い液体を吐き出した。  どちゃどちゃっと音を立てて落ちた液体は胃液とは違う。私が目の前の肉塊から啜ったものだとわかる。  おかしい。吐き出したのに、まだお腹の中に溜め込んでいる気がする。  それを吐き出すために再び指を口の中へ突っ込むと喉を掻き回した。 「おごぉっ! がっ! おぅぇっ!」  掻き回すたびに嗚咽を溢して、口から液体と肉塊だったモノを吐き出して、私の罪悪感を吐き出していく。  食べてしまった罪悪感を掻き出していく。  お腹が空いた。それでも吐き出さなきゃ。  私はグールになんてなりたくなかった。
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