タイムマシンをつくった理由

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 だが、ここで予期せぬ事態が起こった。タイムマシンのAIに突如エラーが生じてしまったのだ。ワームホールによるタイムトラベルは、膨大な電磁エネルギーを発生させる。過去に遡れば遡るほど、時空の歪みは大きく広がり、電磁エネルギーも増大する。そのために機械がエネルギーに耐えられなくなってしまったのだ。警報音はけたたましく鳴り響き、球体は雷雲の中の飛んでいる飛行機と同じような状態に陥った。異常事態に気付いた友人たちは球体を元の時代に戻そうとするが、時すでに遅く、球体はタイムスリップしてしまった。  球体から外に出ると、そこはあの中学校近くの神社だった。しかしタブレットを確認すると、少女の死の翌日となっていた。AIのエラーによって時間設定がずれてしまったのだ。男は急いで故障した機械を直そうとしたが、完全に故障して動かなくなり、トンネルも閉じてしまった。男は過去に閉じ込められたのだ。 「そ…そんな…!せっかくここまでやって来たっていうのに…畜生めぇ!!」  絶望に打ちひしがれていると、神社の鳥居の前を通る人影が男の目に入った。それは、少女を死に追いやったあの少年だった。だが、少年はまるで何事も無かったかのように澄ました顔をしていた。男はそんな少年に激しい憤りを感じ、後を追いかけた。  そして男は、前方から走って来る車を見計らい、少年を後ろから道路に押し出した。 『お前には消えてもらうよ』  自分の罪を消し去るために…。  
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