ウル

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ウル

空中国家、'ウル'はギリシアの面積の8倍の大きさを誇り、その土地は地上の大陸同様、山がその6割を占め、残りが川や湖、平原となっていた。 ウルのような空中国家は他に存在しない。ウルだけがただギリシアを中心としたヨーロッパ周辺を漂い続けている。 天使族はそこで人族と同じ生活をしていた。 牛を使って畑を耕し、商人は商いを行う。だが人族と決定的に異なるのは彼らが民主制を敷いていたことだ。 彼ら天使族に'王'はいなかった。 また、貨幣制度においては人族とは異なる通貨を用いていた。 天使族に対しては国境に配置される関所が無効であり、彼らは自由にヨーロッパを回ることができる。経済の混乱を避けるため天使族は大地で売買や通貨換金が禁止され、実質、天使族の通貨はウルでしか使えず、彼らの経済状況がヨーロッパに影響を及ぼすことはない。 ただ天使と人の個人同士でのぶつぶつ交換までは対処しきれず、原則禁止にとどまっていた。 そして人族はウルに立ち入ることができない。 それはひとえに上空200mを飛ぶための翼がないからだ。
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