危機

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次の日、ラルフはめげずに学校に行った。 授業が始まる前にナイトハイトと少し話をした。 「やあ、ナイツ。君、昨晩は親に叱られなかったかい?」 「ああ、叱られたというより、問いただされたよ。 『ナイツあなたまさか喧嘩したの?』 『誰と?』 『まさか子爵の子じゃないでしょうね?』 ってさ。だから言ってやったさ、 『そのまさかだ』って。 そしたら半狂乱になって狼狽えてたよ」とナイトハイトは笑いながら言った。 「そりゃ、そうさ。僕が君の親でも、それを聞いたら倒れるだろうね、エーベルバッハ家転落のピンチだからね」 「だから一応言っておいた。 『途中、先生が止めてくれたし、訳あって奴らも大問題に発展させるつもりはないだろう』って。 それで少しは落ち着いてくれたよ」 「そう。それは何よりだ。僕の母さんは怒るタチじゃないからね、とにかく心配していたよ。『ラルフ、怪我痛くない?』って」 「そうなんだ。君のお母さんは優しいんだね」 「ああ」 「そして、君を学校に通わせてもくれる」 「そうさ」 ラルフは恥ずかしがるでもなく、平然と言った。 「だからいつか楽にしてやりたいんだ」 …そういうところさ、とナイトハイトは思った。君のそういうところが僕は気に入ったんだ。
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