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「ねえ」
「何だよ」
まだいたのかよ。目の前にはエミリアが立っていた。
「何で貴族でもないあんたが、こんなとこ来てんのよ?」とエミリアは聞いた。
何を言っている?お前も僕を馬鹿にしているのか?ラルフはエミリアに失望した。
黙り込むラルフに対し、エミリアは即座に自分が失礼な聞き方をしてしまったと気づき、言い方を改めた。
「授業を受ける目的は何?それも神学を」
「何だっていいだろう」
ラルフは彼女に取り合おうとしなかった。
「平民が授業を受けたって無駄よ。私達貴族は教養としてあれこれ知っておく必要があるけど、あなたは教養を蓄えておく必要ないじゃない」とエミリアは言った。
「ああ、そうだな」とラルフは言った。
エミリアは不満そうだった。
「…まあいいわ、話してくれないなら。とにかく、あなたには何か目的があって授業を受けているのね?」
「ああ」
「そう」
それからエミリアは踵を返し「私、目的もなく生きる人間が1番嫌いなの。貧民よりもね」と言って去っていった。
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