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神、ヨハネ
ラルフは芝生に横になって雲を見ていた。高額な授業を受けていること、母親に対してとても申し訳なく思った。
「君はもっと神について知らなければならない」
一年前、ラルフはにそう言われた。
「訳あってね、私はこれからウルとヨーロッパの行き来が難しくなるんだ、ウルでいっぱい仕事を任されていてね」
だから、君には申し訳ないが自分で神学を学んでくれると助かるんだよ、とキャシーは言った。
「無理だよ。僕のうちにそんな大金ある訳ないじゃん」
「無理にとは言わないよ。ただこの前の秘密を知る人間は君だけなんだ。君には私たち天使の協力者になって欲しいんだよ」
「何で僕だけに教えてくれるの?」
キャシーは少し言い淀んだかのようのに見えたが、すぐに笑顔を取り戻し、
「君は私にとって人間界で唯一の友達だからさ。そして君は信用に足ると思ったからさ。現に私が言ったことを秘密にしてくれているしね」
ラルフはキャシーにそう言われ、とても嬉しくなったが、そんな喜んでいる自分を見られるのを恥ずかしく思い、どうにか口角が上がらないよう気をつけた。
「そうだ、キャス、君が無理でも、イヴならどうだい?イヴも何か仕事があるのかい?」
「うん。そうなんだ。イヴもとうぶんこっちに来られそうにない…」
「そうか、わかったよ。何とか神学の授業を受けてみるよ」
すまないね、キャシーはそういい、ウルに帰っていった。
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