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岬との生活は2人とも家事は一通り出来るので思っていた以上に快適だった。
互いに個室があってプライベートが保たれているし何より岬は優しい。
春が不安にならない様に明るい話題を振って笑わせてくれるし、仕事もしばらく臨時休業にしたらしくずっと一緒に居てくれる。
この機会にお酒作ってみる?と言われたので少しずつ教わったりしている。
そんな平和な時間が流れていくが何故か春は不安が拭えずに落ち着かない。竜之に連絡するのは迷惑がかかるといけないので、佐志にメッセージを送るが既読にもならない。
きっと、すごく忙しいのだろう。
皆疲れてるだろうな。
何より竜之がちゃんと食べているかが一番気掛かりで。
春が気にして食べさせなければ1日何も食べない事もある彼の体調は大丈夫だろうか。
いつもそんな事ばかりを考えている。
「春、ちょっといい?」
岬がリビングから春を呼ぶ。
洗い物の手を一旦止めて彼の側に足早に近づいた。何故なら岬が深刻な顔をしていたからだ。
「春、落ち着いて聞いて」
「うん」
「御堂の屋敷でボヤ騒ぎがあったらしい」
ボヤ?火事って事?
「簡易的に作られた発火剤みたいなものが数個投げ入れられたみたいだけど、火災にはならなったみたい」
「怪我は?皆無事なの?神さん達は?」
「組長も竜之さんも不在だったし屋敷にいた組員も大丈夫。」
良かった。
いつの間にか息を詰めていたようで、春はホッと息を吐いた。
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