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その頃、竜之の周辺では不気味な空気が漂っており常に神経を張り詰めている状況だった。
屋敷のボヤ騒ぎに加えて、神が乗る車に細工がされていたりと何かしら怪しげな影が見え隠れしていて苛立ちは頂点に達していた。
表に姿を現さない相手に怒りは募るが、ただ一つ春の身だけは安全な場所にあるのでそれだけが救いだった。
組員達が相手を明らかにするため情報を得ようと駆け回っているが、なかなか相手も尻尾を出さない。
とにかく、明日の襲名式さえ乗り切れば犯人探しに集中出来る。もしくは明日の式で何か仕掛けてくるのか。
来るなら来い。
竜之の目は鋭く光り、明日の式に向けて覚悟を決める。背中に大蛇を背負った男の気迫は危機迫るものがあった。
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