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「延長?」
春が朝起きてくると岬からまだしばらくは屋敷に帰れないという事を聞いた。
「まだ、状況が不安定みたい。それにボヤ騒ぎの犯人も捕まってないから、春はまだ戻せないって」
本来ならば明日には屋敷に戻れていただけに春の落ち込む様子が目に入り岬は春の体を抱きしめる。
「春、大丈夫だよ。きっとすぐに迎え来るから」
「うん。。。ていうかゴメン。岬さんは仕事行ってね。俺の安全のためについててくれたんでしょう?マンション居れば大丈夫だし、明日から店開けてね」
ここ数日、春の身の安全のために岬が店を閉めていた事が分かっていただけに申し訳ない気持ちしかない。
春は自分の身ぐらい守れると思っているのだが、今まで数々の迷惑を御堂にかけているだけに竜之始め陣内にまで絶対ダメ。と言われたら従うしかないが、岬まで巻き込んでしまっている現状に自分が情けなくなる。
「春、俺は春と一緒に暮らせるから楽しいよ。
だから全く気にしくていいからね」
いつもの柔らかい笑みを浮かべる岬に感謝しかない。
春は自分の個室に戻り纏めていた荷物を再度鞄から出しながら不安だけが募る。
御堂の屋敷も心配だし組員の皆の事も心配だった。命を惜しまない彼らが無理をしていないだろうかと。それに、、、
竜之さん。
大丈夫かな。
こんなに長い間、御堂の皆と離れているとあの世界にいた事が夢の様に思えてくる。
いつも温かい春の居場所。
それこそが幻で。
本当は、前と何も変わっていないんじゃないか。そんな不安が脳裏から消えずここ最近あまり眠れずにいる。
竜之からの連絡は、あの日以来途切れている。
自分から連絡するのはどうしても出来ず、ましてや佐志でさえ連絡が取れないのだ。
それだけ今の状況が切迫しているのは春にも分かる。
だから、俺は信じて待つしかない。
そう心に決めて気持ちを持ちなおす。
生きる事を諦めない。と誓った人のために。
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