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「春っ!!」
春は目の前にいる大切な人に精一杯抱きついた。一ミリも彼に傷がつかない様に。
「春っ!しっかりしろ!!」
目の前の竜之はものすごく怖い顔をしているが何故か悲しそうな顔の様にも見える。
次第に大好きな人の顔が見えなくなっていく。
あれ?
何でかな。
目が開けられない。
「春っ!バカやろう!!しっかりしろ!」
至近距離で怒鳴られてるはずなのに、竜之の声はどこか遠くで言ってるかの様に聞こえてくる。
春は竜之の頬に触れたくて指を動かそうとするが力が入らずに途中までしか腕も上がらない。
そんな春の手を竜之が握ってくれ、力の入らない手で必死に握り返す。
竜之さん。大好き。
そう最後に伝えられたかどうかも分からないが、春は意識を保てずにそのまま目を閉じた。
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