捨てる神あれば拾う神あり【番外編】

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「え?岬さんとこに?」 翌朝、すでに竜之の姿はなく朝食を食べ終えた後に佐志からしばらくここを離れろと伝えられた。 「しばらく皆、襲名式にかかりきりになるし、何より屋敷に人があまり居ないから竜之さんが心配なんだろ」 敢えて真相は伏せて春に告げる。 「でも、屋敷の事は?誰がするの?」 「大丈夫。帰ってきた奴らでやるしほとんどが組長と竜之さんに付いてるから居ても4、5人くらいだよ。」 「そっか。移動するのは決まった事なんだよね?」春の不安そうな瞳の揺れに気づき「式が終わればすぐに迎え行くから、ちょっとだけ我慢な」と佐志は春の目を見て告げた。 ずっと拾われてから屋敷で暮らしてきたから春も不安になるのは仕方ない。何より変な奴を惹きつけてしまう性質があるから佐志も心配だった。 「佐志さんが迎えに来てね。」 「うん。絶対行くから、待ってろ。」 佐志は頭ひとつ分下にある春の頭にポンと触れる。 「分かった。待ってる」 そう呟いて春は寂しそうに微笑んだ。
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