第一章 また来てと瞬く間に揺らして

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* 春うららかな四月の終わり。 教室にいるみんなはそれぞれが輪を作り、どこか希望に満ちた面持ちで言葉を交わしている。 高校生になり、私は見慣れない顔ぶれにまだ少し緊張してしまう。 顔立ちは可もなく不可もなく。 性格でいえば、おとなしそうに見えて、実は意外と行動力があるというくらい。 特技があるわけでも、何か変わった趣味があるわけでもない。 私は本当にどこにでもいる、『普通』の女子高生だ。 それに比べて――。 机に突っ伏していた私はゆっくりと顔を上げて、視線をある方向に向けた。 既に三宅(みやけ)春陽(はるひ)くんはクラスの人気者で、彼の周りにはいつもたくさんの人がいた。 彼は私の方なんて一切見ることもなく、クラスメイトの発言に破願している。 三宅くんは『共依存病』という難病の影響で学校を一日置き、空けて登校しているが、その日も放課後まで人に囲まれて楽しそうに笑っていた。 きっと……それは彼の人柄がいいからなのだろう。 明るくて太陽のような三宅くんは、クラスで絶大な人気を誇っている。 その上、運動神経もいい。 この頃の私は三宅くんとは接点がなく、ただ、彼に惹きつけられるように、いつか話せたらと思うだけだった。 私の中の何かを変えてくれるような、『特別な出来事』と出会いたい。 特別な出来事に対して一生懸命になって、生きてみたい。 ここのところ、毎日。 変わらない日常を過ごしながら、私はそんなことを考えていた。 私と三宅くんの関係が変わったのは、それから一週間後のこと。
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