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春うららかな四月の終わり。
教室にいるみんなはそれぞれが輪を作り、どこか希望に満ちた面持ちで言葉を交わしている。
高校生になり、私は見慣れない顔ぶれにまだ少し緊張してしまう。
顔立ちは可もなく不可もなく。
性格でいえば、おとなしそうに見えて、実は意外と行動力があるというくらい。
特技があるわけでも、何か変わった趣味があるわけでもない。
私は本当にどこにでもいる、『普通』の女子高生だ。
それに比べて――。
机に突っ伏していた私はゆっくりと顔を上げて、視線をある方向に向けた。
既に三宅春陽くんはクラスの人気者で、彼の周りにはいつもたくさんの人がいた。
彼は私の方なんて一切見ることもなく、クラスメイトの発言に破願している。
三宅くんは『共依存病』という難病の影響で学校を一日置き、空けて登校しているが、その日も放課後まで人に囲まれて楽しそうに笑っていた。
きっと……それは彼の人柄がいいからなのだろう。
明るくて太陽のような三宅くんは、クラスで絶大な人気を誇っている。
その上、運動神経もいい。
この頃の私は三宅くんとは接点がなく、ただ、彼に惹きつけられるように、いつか話せたらと思うだけだった。
私の中の何かを変えてくれるような、『特別な出来事』と出会いたい。
特別な出来事に対して一生懸命になって、生きてみたい。
ここのところ、毎日。
変わらない日常を過ごしながら、私はそんなことを考えていた。
私と三宅くんの関係が変わったのは、それから一週間後のこと。
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