第八章 奇跡の還る場所

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はるくんを事故で亡くした後、私は心に深い傷を負い、無気力になり、抜け殻のようだった。 中学校には行かず、ずっと塞ぎ込んでいた。 はるくんがいたはずの空間に身を置くのは苦痛だったから。 学校に通えなくなってしまった私を、お父さんとお母さんはずっと心配していた。 高校入試の時以外は、家に引きこもる毎日。 それでも高校に入学してからは、私はようやく普通に学校に通えるようになった。 はるくんが死んだことを認めたくなくて……自己防衛のように、はるくんと過ごした記憶に蓋をしていたから。 意図的にはるくんのことを忘れていたから。 でも、秋斗くんと春陽くんと出会って、ねねちゃんと再会して、私は改めて、はるくんと向き合うことができた。 その事実は私の心の隙間を埋めるように、希望の光を灯した。 「雫は、はるくんが亡くなってからはずっと塞ぎ込んでいた。私たちは、そんな雫のことが心配で心配で仕方なかった」 「でも、高校に入学してからは毎日が楽しそうだったわ。それはきっと、秋斗くんと春陽くんと出会ったからなのね」 「……うん」 それでもお父さんとお母さんは、私の心がまだ、癒えていないことは知っている。 だからこそ、お父さんは真剣な眼差しで切り出した。 「分かった。おまえの思うように生きなさい。でも、困ったことがあったら、すぐに相談するんだぞ」 「お父さんとお母さんは、これから何があっても雫の味方だからね」 「ありがとう。お父さん、お母さん」 そう笑って、私はお母さんの胸に飛び込んだ。 「なあ、雫。今度、都合がいい時、家に連れてきてくれないか? はるくんの兄弟に会ってみたいんだ」 「うん。でも、春陽くんは本当に、はるくんそのままだからきっと、びっくりすると思う」 「そうか。楽しみだな」 お父さんもそう言って、そっと私をお母さんごと優しく抱きしめてくれた。
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