第九章 その不屈の果てに、望む人が居るのなら

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* 私たちは待ち合わせ場所である観覧車に向けて歩いていく。 観覧車に近づくにつれ、その大きさが並外れたものであるのが分かった。 「わたし、前に中学の修学旅行でここに来たことがあるんだ……」 ねねちゃんはぽつりぽつりと話し出す。 「だから、いつか、しずちゃんが元気になった時、また、ここに来ようと思ってた」 「……そっか。修学旅行の行き先の一つが、この公園だったんだね……」 改めて言葉にしてみると、言いようのない感情の波が私の胸に押し寄せてきた。 私は高校入試の時以外は、家に引きこもっていた。 誰とも関わらず、修学旅行にも行かなかった。 大好きで大切なねねちゃんとの繋がりを自ら断っていた。 「わたしもしずちゃんと一緒に、同じ高校に通いたかった。はるくんに会って、しずちゃんの傍で二度目の恋をしたかったー」 ねねちゃんのその言葉に、私は居ても立ってもいられなくなる。 「ねねちゃん、ごめんね……。あの時は、何も相談することができなくて……。私、これから先は……ねねちゃんの傍で二度目の恋をしていきたい。今までできなかった分、いっぱいいっぱい相談していきたい。いっぱいいっぱい、ねねちゃんの相談を聞いていきたい」 「え、えへへ……それは、その、すごく幸せー」 そう告げれば、ねねちゃんが嬉しそうにはにかんだ。 いつものように嬉しそうに笑う彼女が微笑ましい。 少しでも元気になってほしいと願ってのことだった。 「あのね、ねねちゃん。実は私、秋斗くんに初めて出会った時にね。勢い任せで、その、秋斗くんと春陽くんに告白したんだ」 私はあの日、勢いで想いを打ち明けたことを正直に伝える。 「あの後、『共依存病』の症状が進行した影響でドタバタして、まだ、告白の返事は聞いていないんだけど……夏祭りの時に教えてもらえることになってるの……」 「そっか……。なら、わたしも負けていられないねー」 照れを滲ませる私に奮い立たされたように、ねねちゃんは決意を口にしてから微笑んだ。
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