第九章 その不屈の果てに、望む人が居るのなら

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観覧車から降りた後、ねねちゃんは私たちを導いていろんな場所を見て回った。 色鮮やかなひまわりが咲き誇る花畑を見た後、遅めのランチに向かう。 話題になっていて、テレビにも出たというガーデンレストラン。 私たちは周辺が見渡せる四人がけのテラス席へと歩を進めた。 「…………」 私はメニューを見ながら、改めて春陽くんを見る。 春陽くん。今日もかっこいいな……。 春陽くんがいてくれるだけで、いつも心が温かい。 楽しい。嬉しい。 好き。大好き。 これからもずっと傍にいたい。 私の胸の中に様々な感情が押し寄せてきた。 休日のガーデンレストランは、私の心と同じで、どこか浮ついている。 周りは家族連れや仲睦まじいカップルたちだらけだ。 隣に視線を移すと、ねねちゃんも愛しそうに春陽くんを見つめていた。 ねねちゃんも、私と同じこと、思ってるのかな? そう思ったら、否応なしに私の胸が熱くなっていく。 ふと、春陽くんがこちらを見た。 恥ずかしくなって、咄嗟に私はメニューで顔を隠す。 夏の風が吹き抜けて、私の髪をふわりと揺らしていた。 「お待たせいたしました」 運ばれてきたランチを、私たちは思う存分、堪能した。 「すごく美味しい」 「うんうん。ふわふわで、甘くて、とろけて、幸せの味がするもん」 私とねねちゃんは料理を口に入れる度に、表情に幸福を浮かべる。 「すげえ美味しいなー」 その様子を見て、春陽くんの心も温かくなったのか、幸せそうに表情をとろけさせていた。 レストランから出た後、私たちは多くの人たちが賑わっている広場へと足を向ける。 全国各地から多くの人が集まるフリーマーケットが開催されている広場では、洋服やアクセサリー、ハンドメイド雑貨などが出店していた。 「あ、はるくん、しずちゃん、見て見て。可愛い!」 ねねちゃんはパステルカラーで溢れる、小さなぬいぐるみが並ぶ店の前で足を止めた。
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